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ミツバチのレクイエムー1―

バスの山本文夫さんの随筆が毎週火曜日に伊豆新聞に連載される事になりました。先週連載された分を転載します。
合唱に直接関連しなくても伊豆の情報などの寄稿をお願いします。

                ミツバチのレクイエムー1―

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 庭にあるミツバチ用の巣箱にミツバチの群れが引っ越してきました。伊東の野生のハチ、二ホンミツバチです。木箱に蜂の巣からつくった蝋を塗り、二ホンミツバチが好む蘭を育て、女王が生まれ、巣別れする時期にその花を咲かせて、新しい群れを呼び込むようにしました。こうしてやってきた女王バチを中心とする1万匹の群れが、空洞の箱の中で巣作りを始めます。
 彼らは近所の花の蜜と花粉を集め、子育てをし、群れを大きくします。秋には襲ってくるスズメバチと戦います。大きなスズメバチに小さなミツバチが集団で襲いかかり、その熱でスズメバチを殺してしまうのです。その自己犠牲の姿は驚くべきものです。
 私も夏の酷暑には巣箱の上に日除けをかけ、寒い冬には菰(こも)を周囲に巻いてあげます。このようにして春を迎えると彼らはハチミツ集めに勤しみ、巣箱の中は蜜と幼いハチで充満していきました。
 一年半経った七月のこと真夏の暑さが襲いました。そして三日目、なんと巣箱の下から蜜が流れ出しています。それも川のように。あまりの暑さと巣の蜜の重さに耐えかねて巣が落下してしまったのです。ハチたちは続々と巣箱から出てきて、箱の外側にびっしりと取りつきました。やがて一斉に飛び立ち、畑の周囲一面を覆いました。一万匹のハチの羽音、霞が覆ったようなハチの乱舞に圧倒され、私も家内も立ち尽くしました。
 恐る恐る巣箱の蓋を開けてみました。破れた巣から蜜が流れ出している、それはあたかも一つの命が損なわれ、そこから血が流れ出しているようです。巣のなかにはまだ数千匹の子供や卵がいる、またこの巣には何万という花たちの命のかけらともいうべき蜜と花粉が充満しています。一万匹の働きバチが一日に百個の花を受粉させ、一年に百日働くとすると、なんと一億の花を受粉させてきたことになります。つまり今ここにいるハチの群れはこの一年間に一億の命の架け橋を担ってきたのです。(つづく)
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